教育の価値
こんにちは、今日は第2回の授業のお話をします。
第二回のゲストスピーカーは今村久美さんです。
ではまず今村さんについてお話しします。
今村さんとは?
今村さんはNPO法人カタリバの代表理事をやられている方です。
ではまず、なぜカタリバを始められたのか、今村さんの学生時代のお話からしていきます。
今村さんは地方で生まれ、大学に行くより地元で就職することが当たり前という環境で育ちました。
周りも同様の価値観の人ばかりでしたが、今村さんはこの価値観に疑問を感じ、大学に行って街から出ようと考えていました。
そして様々な苦労の元、今村さんは見事SFCに合格し大学生となりました。
大学生になってからは、これまでに会ったことのない様な人、新しい価値観などに出会い、とても輝かしい世界だったそうです。
そして、この環境を生かし今村さん自身もこれからどのようなことをしたいか、将来に向けて考えていったそうです。
大学は楽しいものという考えがしっかり定着した今村さんは、地元に戻ると、地元の友達と当時の自分の考え方が大きく違うことに気づきました。
この違いはとても衝撃的で、ある意味「現実に戻った」と感じたそうです。
大学に戻ってからというものの、大学での友人は特権階級の人たちだ、現実離れしていると考えるようになりました。
これからの日本をより良くしたいとディスカッションしていた友人たちは、実際には世の中のことは知らないし、その気持ちも他の人には伝わってない、また自分たちがどれだけ特権階級に属しているかに気づくことなく、日本のリーダーになっていくことに違和感、怒りを覚えたそうです。
そして今村さんはいつしか、教育がどれだけ価値のあることか理解している自分だからこそ教育の分断を無くしたいと考えるようになりました。
そしてNPO法人カタリバが創立されました。
カタリバって?
カタリバではどんな環境にいる子でも未来を作れる世の中にすることを目標にしています。
このブログを読んでいる皆さんもこれまで様々な形での教育を受けてきたと思います。その教育は人によって異なり、だからこそ自分自身の受けている教育に違和感、または感謝する気持ちを持つことは難しいです。
しかし、だからこそカタリバが提供する、学校以外の先生以外から受ける教育が大切であると今村さんは考えています。
みなさんが抱えている学校の悩み、例えば友人関係、勉強問題、または家庭環境に関する悩みなど以外にも、世の中には楽しいことがたくさんあるということを今村さんはみなさんに伝えたいのです。
学校が担っている学習する場所という役割、そして家庭から離れて保護者以外の第三者の大人と関わることが出来るという大切な役割を今村さんは自分自身で作り出したいと感じ、カタリバを作ったそうです。
全授業を通して
私がこの全12回の授業を通してこの第2回の授業を最後にしたのにはみなさんにこれまでの自分を振り返って欲しかったからです。
これまでのブログではみなさんがどのようなことをしていきたいか、またどのような心構えが必要かを様々な経験を持った先生から聞くことができました。
今回のお話では、自分自身がこれまでどれだけ恵まれていたか、無意識のうちにとても価値のあることを学ぶことが出来ていたと気づきました。
私は現在大学4年生ですが、社会人になるに当たって自分は何になりたいんだろう、何が自分にとって大切なのだろうと考えるきっかけになりました。
このブログには、本講義のタイトルである「SFCスピリッツ」がたくさん詰まっています。
これを読んでいる皆さんは様々な環境の方がいらっしゃると思います。
みなさんがこれまでどのようなことを学んできたのか、どのような機会を設けてもらっていたのかを振り返る、そしてこれからの自分について考えるきっかけとなるブログになれたら幸いです。
以上をもってこのブログは終了させていただきます。ありがとうございました。
ニューノーマルを生み出す
こんにちは、今日は第12回の授業内容についてお話しします。
第12回のゲストスピーカーは駒崎弘樹さんです。
駒崎さんについて
まず駒崎さんについてお話しします。
駒崎さんはNPO法人フローレンスの代表理事をやられている方です。
事業で社会問題を解決することを目標に活動されています。
駒崎さんは大学卒業とともにフローレンスを設立し、病児保育や赤ちゃんの養子縁組、子供宅食などに関する社会問題に釣り組んできました。
では、なぜこのような社会問題に取り組むことになったのか、その経緯についてお話しします。
駒崎さんは大学の学生時代、友人とともにITベンチャーをやられていました。
そのITベンチャーは様々な事業の会社にwebのシステムを提供することを主にやっており、まだITが完全に広がっていなかった時代だったため、とても安定した経営をされていたそうです。
しかし、やっていくうちに駒崎さんは、このシステムで誰の課題を解決しているのか、なぜITベンチャーを始めたのか、という疑問が浮かぶようになり、新しいことを始めたいと考えるようになりました。
フローレンスを作った経緯
ちょうどその時、ベビーシッターをやっている駒崎さんのお母様が、あるお客さんからベビーシッターの契約を更新しないという旨のお話があったことを聞きました。
詳しく話を聞いてみると、そのお客さんはシングルマザーであり、体調を崩した子供の看病で会社を休んだことにより、会社をクビになったからということでした。
この話を聞いた駒崎さんは頭に疑問が浮かびました。
子供の看病という当たり前のことで会社をクビになってしまうなんておかしい、こういう時に助けとなるセーフティネットを作らなければいけない、と考えました。
そこで、NPO法人フローレンスを作ったのです。
しかし、当時の病児教育にはほとんど社会的取り組みがなされていなかったそうです。
それは、需要が予測できない、補助金が少ないため組織として自立ができないという運営としての問題があったからです。
この問題により病児教育は新規参入ができず、広がらなかったのです。
そこで駒崎さんはこれまでの病児教育とは異なった、訪問型の病児教育を作ることにしました。
訪問型というのは、通常の託児保育のように施設で預かるのではなく、直接訪問し、サービスを提供するというものです。
また、このビジネスモデルではサービス料は高額になってしまうため、料金はサブスクリプションの形にし、サービスを利用しなかった家庭の会費はやすく、反対に利用した家庭は会費が上がるという形式にしました。
様々な家庭が、薄く、広く利用できるように、という駒崎さんの狙いが込められています。
次に取り組んだ課題は保育所が不足しているという問題です。
フローレンスの社員が育休後、保育所に入れないため復帰できないという声を聞いて取り組むようになりました。
駒崎さんのお話を聞いて驚いたのですが、保育所というものは設立するのに当たって様々な条件があり、簡単に作れないそうです。
定員は20名以上という決まりがあったのですが、駒崎さんは今までの様々な知り合いの力を借り、定員9人のお家保育園を作りました。
この活動により、小規模保育は盛んになり、今では急増しているそうです。
駒崎さんが行ったことは課題解決の中でも、点としての課題解決でした。
しかし、行動をすることで、その課題解決の運動は広がり、いずれ面としての課題解決になると感じたそうです。
自分自身の活動が社会に広がり、大きな動きとなったのです。
次に取り組んだ課題は障害のある子供の保育所不足です。
預かる上で、様々な施設、配慮が必要という点で当時の東京都には全くサービスがなかったそうです。
日本は医療デバイスが発達しており、他国に比べ、未熟児がなくなってしまう割合は少ないです。
しかし、それにもかかわらず、生きていく上で支えるシステムがないという問題は、駒崎さんはおかしいと感じました。
テクノロジーとともに社会もアップデートする必要があると駒崎さんは考えました。
では、保育所を作るには制度を変える必要があります。
そこで駒崎さんはこれまでの制度をうまく掛け合わせ、訪問して保育する仕組みと障害児の通所、教育の仕組みを活用しました。
これにより、保育所を作ることができ、東京都初の障害のある子供の保育所を作ることができました。
これまでの経験を通して
これらの活動はどれも、他の人から反対されていたものだそうです。
フローレンスを設立した時では、当時はまだNPO法人は知名度がなかったため、成功しないと言われていました。
上記の3つの課題を取り組む時も、成功しないだろう、制度を変えることは無理だと言われていたそうです。
しかし、今では良くやった、素晴らしい取り組みだと褒められたそうです。
これらの経験を通して人の価値観は5年、10年で変化するのだから、自分自身がやりたいことをやろうと駒崎さんは考えるようになったようです。
一番必要だ、自分がやらなくてはならない、と考えることを取り組むことで、誰でも社会を変えることが出来るのではないか、と感じました。
ニューノーマルを生み出す、これを念頭にやりたいことをやってみようと感じました。
自我作古-我より古を作す-
こんにちは、今日は第11回の授業のお話をしたいと思います。
第11回のゲストスピーカーは小林正忠さん、楽天の創業メンバーです。
今回は小林正忠さんのお話をしたいと思います。
学生時代について
小林さんは学生時代、大学の行事に関わる様々な運営メンバーを担当されていたそうです。例えば、7月に行われる七夕祭、第1期しか体験したことのない幻の体育祭、24時間キャンパスを考えるかい、キャンパスライフ満足度調査などSFCにどっぷりハマった学生生活を送ったそうです。
小林さんはこの学生生活を通してパイオニア精神、仲間を手に入れたとお話しされていました。
たしかに第1期という誰も体験したことのないSFCキャンパスライフを1から作り上げたと考えるととてもすごいと思います。
我より古を作す
そして卒業後、1997年に6人の仲間と共に楽天を操業しました。
楽天を作り上げるに当たって小林さんが大切にしていたキーワードがあるそうです。
それは『自我作古(じがさっこ)』。
これは慶應義塾大学の創設者である福沢諭吉先生が学問において中心としていた考えです。
我より古を作す、つまり「自分が歴史を作り出す」という意味です。
この言葉の通り小林さんは楽天を1から作り上げていきました。
その中で様々な苦労がありました。
例えば、インターネットです。当時はまだインターネットが当たり前ではない世界で、ネットビジネスなんて成功しない、と考えられていたそうです。
また楽天証券のサービスを開始する時には金融業は生半可にできるものではないと否定されました。
楽天イーグルも伝統のない会社が始めるなんて、、と否定されたそうです。
しかし、結果として大成功でした。実際、先ほどあげた例はみなさんも聞き馴染みがあると思います。
これらの挑戦により小林さんは「不可能はない」と感じたそうです。
- 「できるかできないか」ではなく「やるかやらないか」
- 挑戦しなければ何も始まらない
- 批判の大半は挑戦したことのない人の声
何か新しいことを始まる時、また新しいことに限らず行動を起こす時、やはり“失敗したらどうしよう”、“自分ができるのか”などいろんなことを考えてしまうと思います。
前例がない、誰もやったことないから辞めるのではなく、だからこそ自分がやる、新しい道を作る、歴史を作る。
これこそが自我作古、小林さんは挑戦を通してそう感じたそうです。
では、これから小林さんがどのようなことに取り組んで行くかのお話をしたいと思います。
これからの使命
それはwell-beingです。well-beingとはいろんなことがよくなるということ、耳にしたことがある人もいるかもしれません。
個人として自分らしくいきているのか、組織としていい状態なのか、社会としていい状態なのか、これらを考え行動することが小林さんは使命だと感じているそうです。
自分なりのwell-beingを信じ、「二兎追うものは一兎も得ず」ではなく「三兎、四兎現れる」と信じ突き詰めて行くとおっしゃっていました。
面白いと思ったらやってみる。
自分のやりたい、行きたい道に進む。
できないじゃなくて、できる方法を考える。
これを意識することで選択肢は大きく広がると感じました。
インターネットや周りの友人などから情報を受け取る「アンテナ感度」、いいなと思ったらやる「行動力」。
これら2つをしっかり持っている人こそが挑戦できると小林さんはおっしゃっていました。
小林さんはこの2つの力をもとに挑戦したことで、パイオニア精神、一緒に挑戦できる仲間、そして成功に向けて自分を信じる力を手に入れることができたのではないか、と感じました。
一歩行動する
こんにちは、今日は第10回の授業についてお話ししたいと思います。
第10回のゲストスピーカーは平尾丈さん、現在は起業家、イノベーターとして活躍されている方です。
今回は、平尾さんのこれまでの起業のお話しと、その経験を踏まえたお話しと書いていこうと思います。
平尾さんは学生時代に2社起業し、その後新卒で一般企業に就職されています。
そして働いていた経験を生かし、「株式会社じげん」の代表取締役社長を現在は務めていらっしゃいます。
じげんとは社会に存在している様々な問題を事業で解決する事業家集団だそうです。
基本理念は生活機会の最大化であり、この理念は平尾さん自身の幼少期から感じていた機会の不平等を解決したいという考えからきているものです。
平尾さんは学生時代、IT社長になりたいという漠然として夢がありました。
そして、まずは様々な人とお話をし、自分自身がどのようになりたいのか明確にするため有名企業の会社員や政治家、企業家などを中心に1万人と会うようにしたそうです。
平尾さんは様々な人とお話しする中で起業家、経営者などの社会を成長させる人々に憧れるようになり、この機会を通して「IT社長になりたい」という夢が「社会の問題を事業で解決したい」という夢に進化しました。
様々な経験をされてきた方とお話しすることは自分自身の価値観を広げ、選択肢を広げられると感じました。
では次に実際の経験を通して平尾さんが感じた起業の魅力についてお話しします。
1つ目はchangeです。
世の中を主体的に変えることができることです。
自分が考えた世の中の課題を解決するには、どうすればいいかを常に考えるという点で、企業は近道だと感じたそうです。
2つ目はchallengeです。
仲間とともにダイナミックな挑戦ができることです。
平尾さんは先ほどお話しした通り、学生時代に起業をされており、これは他の起業家と比べ、デビューが早いです。
試行錯誤しながら1つの目標に向けて一緒に切磋琢磨する仲間が平尾さんは企業によってできたと感じたとお話しされていました。
3つ目はchanceです。
人生の選択肢が増え、可能性が広がるということです。
起業を通して平尾さんがやってきたことが平尾さんの実績に繋がり、自分自身の信頼につながります。
そしてその信頼によって平尾さんはチャンス、つまり選択肢が広がったそうです。
では実際に起業家にはどのようなマインドが必要なのでしょう。
1つ目はリーダーシップです。
起業家というのはその組織をどういう風にして行きたいか、どこに目標を定めればいいかなど、組織全体としての目が必要だと考えます。
2つ目は当事者意識という心です。
どのようなニュースでも、社会問題でも、自分ごとで考えられる人というのは起業家には必要な心であると平尾さんはおっしゃられていました。
自分なら何ができるか、どのような能力を伸ばすことができるかなど他人事にはしない心というのは起業家には必須です。
3つ目は圧倒的なエネルギー量です。
これは今までの他の授業のゲストスピーカーの方のお話を聞いていて毎度感じます。
自分が考えていることを行動に移す、簡単なようでとてもエネルギーが必要なことです。
4つ目はパターン認識力です。
ある業界で起こったことを他の業界に重ねて考えてみること、様々な事例をパターンとして他のことに日もづけることができる人は起業家に必要なことです。
5つ目はメタ認知能力です。
自分自身の状況を認識して、ゴールへの辿り着く方法を考えると力のことです。
どのように行くべきか、何が必要かなどを考えることができる人は起業家に必要な能力であると平尾さんは感じたそうです。
これらを持っている人が平尾さんは生き残るのではないかと感じたそうです。
では平尾さんが起業までに行ったことをお話しします。
やったことは主に3つです。
1つ目はwill。
何をしたいのを考えます。つまり、目標設定です。
平尾さんの場合は先ほどお話しした通り世の中を変えたいということです。
2つ目はskillです。
実践能力、総合力を磨きます。
こうすることで自らビジネスを立ち上げ経営資源を拡大再生産していける力を養います。
3つ目はactionです。
インプット、アウトプットをします。
何かを習得するとき、インプットばかり、アウトプットばかりをやる人が多い傾向にあります。
しかし、平尾さんはどちらも並行して行うことを心がけたそうです。
学生時代の移動時間にインプット、それ以外の時間は社会人や学外の方へ向けたアウトプットの時間に当てたそうです。
しかし、起業してからの問題も多くあったと平尾さんはおっしゃられていました。
主に資金集め、仲間集めです。
しかしこれらの問題を乗り越え、平尾さんは現在活躍されています。
それはまずは一歩行動するということが他の人より早かったからだそうです。
先ほどお伝えした通り、平尾さんは学生時代に2社も起業をされました。
まずは一歩動いてみる、そうすることでどのようなことも成功につながるのではないでしょうか。
共創する場
こんにちは、今日は第9回の授業についてお話ししたいと思います。
今回のゲストスピーカーは江渡浩一郎さんです。
江渡さんはメディアアーティストとして様々な作品を発表する一方、研究者として研究に従事されています。
江渡浩一郎さんとは?
では江渡さんが今までどのようなことをやってきたのか、今どのようなことに携わっていらっしゃるのか、お話しします。
皆さんは今、以前には無かったオンライン授業を受けていると思います。
オンライン授業というものは、インターネット上で動画という形で情報を共有するものです。
江渡さんはそのように、インターネット上での情報共有というものに興味を持っていました。
そしてその興味を生かして今ではオンライン上、または対面での共創、創造の場を作っていらっしゃいます。
共創、想像の場
共創、創造の場と言われてもイメージが上手く湧かない人も多いと思います。
身近な共創、創造の場といえば、Wikipediaです。
皆さんはWikipediaをご存知ですか?
何か単語を調べた時、その言葉に関した情報や関係ワードを教えてくれる言葉辞典のようなものです。
そのWikipediaは誰が作っているかご存知ですか?
それは皆さんです。皆さんも対象に対して情報を付け加えたいと思えば可能です。
つまり、Wikipediaとは様々な人が集まって文章を作る、共創、創造の場といえます。
ではなぜWikipediaは今のように全世界の人が利用する世界の百科事典となったのでしょう。
それはパターンランゲージを取り入れたものであったからです。
パターンランゲージとはある建築家が提唱した建築方法のことです。
ある建築を利用者の望み通り実現するには、その利用者自信が建設するべき、とその建築者は考えていました。
確かに、利用者にとって完璧なものを作るには利用者自身が建築をする→建築家が再現する、この方法が手っ取り早いと感じますよね?
建築物において良いと考えられるものの中で、よく出現、使用されるパターンを集め、それらのパターンから利用者が選出、繋いでいくことでいいものができると考え、パターンランゲージ法として利用されていました。
これは現在のプログラミングにも活用されています。
まず、利用者がどのようなプログラムを使用したいのか、自分なりにデザインを考えます。そのデザインをもとにプログラマはプログラムを再現するというものです。
Wikipediaは世界のものになった理由も同様です。
Wikipediaができる以前、wikiwikiwebというWikipediaと同様の機能を持つものがありました。wikiwikiwebという良い機能を持つパターンを参考にし、作られたことによって、Wikipediaは今のように一般的になったのでした。
ニコニコ学会β
では、江渡さんにとっての共創、創造の場とはなんだったのでしょう。
それはニコニコ学会βというものです。
ニコニコ学会βを構成するにあたって、江渡さんは有名なプロの研究者の発表としての学会だけでなく、あまり有名とまでいっていない研究を発表する学会とすることを意識したそうです。
こうすることで、プロの研究者と野生の研究者が交流できる場を江渡さんは作りました。
ここまで共創、想像に重点を置いてお話ししてきました。
では共創とビジネスでよくある協業にはどのような違いがあるのでしょう。
共創と協業の違いについてお話しします。
協業とは複数の企業が協力しあって組織的に動くことです。
よって動き出す前に、得られる利益を予測しその利益をどのように分配するか決めます。つまり、とてもビジネスライクな関係です。
では共創とはどのような関係でしょう。
江渡さんは共創とは「どのようになるか予想できない、しないがとりあえず一緒に動いてみる」というものです。
つまり、ビジネスライクとはまた異なる関係であることはお分かりだと思います。
しかし、競争には共通の目標「共通善」が必要であると江渡さんは考えています。
この共通善に向かって様々な人が強調するのではなく、思い思いに行動して噛み合ったときに生まれたものこそが共創と言えるのではないか、と江渡さんは考えています。
学生のみなさんにとって大切なこと
ではこれから学生の皆さんはどのように行動するべきでしょう。
未来に向けてと言われても未来はいずれ現在に、今は出来ないことだとしてもいずれ当たり前になってしまいます。
しかし、今の「非常識」を疑うこと、つまりいずれ「常識」になるかもしれないと思うことが大切です。
いまは多くの人々が同意しないだけで、いずれ重要な事実となることを見逃さないでください。
では最後にその重要な事実をどのようにすれば見つけることができるのか、おはなしします。
- 自分なりのテーマを見つけよう
- 仲間を見つけよう
- 大学の外に活動の場を見つけよう
今いる環境の外に出てみる、友人と興味のある分野の理解を深めてみる、こうすることでいろんな観点を持つことができ、いまは誰も信じない自分だけが知っている事実を見つけることができるのではないでしょうか。
みなさんが中学生、高校生なので交流を持つ場を見つける、作ることは難しいと思います。
なので、まずは自分なりのテーマ、知りたいと思うことを見つけてみてはいかがでしょうか。
耕すこと
こんにちは。今日は第8回の授業についてお話ししたいと思います。
今回のゲストスピーカーは松尾卓哉さんです。
松尾さんはSFC卒業後、大手広告代理店である電通に就職し、その後「17(ジュウナナ)」という会社を設立され、クリエイティブデザイナーとして働いていらっしゃいます。
学生時代の経験
では松尾さんがSFCの学生だった頃についてお話ししたと思います。
松尾さんは学生時代、生活費を捻出するため様々なアルバイトをしていたそうです。
お話を聞く中で、ほかの学生と比較してもとても多くのアルバイトを体験されており驚きました。
ではなぜ1つのバイトを続けるのではなく、様々なアルバイトを経験するのに至ったのでしょう。
それは中学生の頃から電通で働きたいと思っていたからです。
松尾さんは中学の先生にある日電通という広告を作る会社があることを教えてもらい、広告というものに魅了されてからというものの、電通絵働きたいと思っていたそうです。
そして大学受験をし、進学する大学を選択する際に電通に入るにはどの大学を選ぶべきか、直接電通に問い合わせたそうです。
私はこの行動力にとても驚きました。電通の方々も同様、松尾さんに魅力を感じ、直接社員の方とお話しする機会を設けたそうです。
そして様々な社員の方とお話をする中で、選択肢が広がると考えられる慶應に入学することになりました。
また、働いてからはできないことを学生の頃にしておくべきというアドバイスから多くのアルバイトを経験するようになりました。
松尾さんはアルバイトを半年で変えるというルールを独自に設けました。ではそのアルバイトを一部紹介します。
- 外構工事
- 古新聞の回収
- バーテンダー
- 自動車の溶接
- 家具の配送
- 牛丼屋
- 外車のシートの張り替え
授業の中で1つ1つのアルバイトのエピソードを教えていただきましたが少し個人的な内容でインターネットで公開してよいかわからないので省力させていただきます。
働く上で大切なこと
では、これらのアルバイト、また社会人になってからの仕事を通して一番大切だと松尾さんが感じたことをお伝えします。
それは自分を信じることです。
松尾さんは今までの仕事を通し、様々な人と出会い、様々な経験をしました。
エピソードの中には、人は見かけによらないこと、反対に心温まるエピソードもありました。
松尾さんは自分を信じることは自信を持つことに繋がり、それは仕事をする上で説得力、人を魅了する、惹きつける能力につながると考えたそうです。
確かに、松尾さんの話はとても魅力的で引き込まれる感覚がありました。
また、そのように意識していても孤独を感じることはあります。
これはどのような場所でも感じるものだと考えますし、みなさんも人それぞれですが孤独を感じた経験があると思います。
そのような時、まずは皆さんにはたくさんの祖先がいることを忘れないでください。
え?って思った方も多いと思いますが、松尾さんのお話を聞いて納得しました。
みなさんはお母さん、お父さんから生まれました。
私はまだ子供がいないのでわかりませんが、親というものは子供には自分より幸せになって欲しいと願うものだそうです。
なので、みなさんにはお母さんとお父さんという味方がいます。
お父さん、お母さんにも同様にお父さん、お母さんがいます。
これを繰り返すと、みなさんにはたくさんの親戚=味方がいることになります。
孤独を感じた時、みなさんにはたくさんの味方が居ること忘れないでください。
大切なこと
また、みなさんは中学生、高校生ですが将来を考えた時、何か成功しなければならない、、と焦りを感じて居る方も多いと思います。
ですが、まずは焦らずに自分を耕しましょう。
耕すとは松尾さんのように様々な経験を積むことです。
いつタネが埋められ、芽が出てもいいように、つまり何か運が巡っていた時に行動を起こせるよう、今できることをやることが一番大切なのではないかと感じました。
作るために壊す
こんにちは、今日は第7回SFCスピリッツの授業内容についてお話したいと思います。
今回のゲストスピーカーは門松貴さん、内閣官房長官の秘書を勤められている方です。
つくるためにこわす
門松さんは今までのやってきたことを一言でまとめるとすると「つくるためにこわす」だそうです。
これまでの授業は比較的「つくる」ことに重点をおいた授業であったかと思います。
今回の授業では「こわす」ことを多くやってきた門松さんのお話を説明したいと思います。
では門松さんはどのようなものを壊してきたのか?
1つ目は文理の壁です。
みなさんは現在中学生、また高校生でもうすでに文系、理系が決まっている人、またはどちらにしようか迷っている人、など様々な人がいると思います。
門松さんも皆さん同様、文理選択の際に何度か迷っていたそうです。
門松さんの得意科目は英語や数学や物理、不得意科目は科学、つまり理系っぽいけど、、という状態のまま、最終的には理系を選びました。
しかし受験勉強を進めていく中で、英語と数学を重視した文系学部を受けることを決意し、高校3年生で文転をしました。
最終的に受験勉強を乗り越え、見事SFCに合格し門松さんはSFCに入学することになりました。
SFCに入学してからは文理どちらも得意ということから研究会の先生に通産省の技官を勧められ魅力を感じ、目指すようになったのだそうです。
ここで技官について説明します。
技官とはある学術、技芸に関する仕事をする国家公務員のことです。
分類としては理系として扱われるそうです。
しかし門松さんは現在理系ではない官房長官秘書官を務めていらっしゃいます。
つまり門松さんは理系として初めて秘書官を務めている方になったそうです。
門松さんは図らずも「理系」として初めてをたくさん開拓していきました。
では次に文理の壁が壊れることとここ30年の時代の変化についてお話ししたいと思います。
ここ30年の時代の変化としては
- 低経済成長期時代
人口減少という観点から少ない人数で多くの仕事をこなさなければならない
- IT技術の発達
情報伝達技術の高速化により国際化、効率化、迅速化
- 問題の複雑化
単純に1つの組織、局で解決できないような複雑な問題が生まれる
上記の変化に伴い、80年代までの働き方というのは通用しなくなりました。
文系だから、理系だからと枠で決めるのではなく、能力のある者が活躍できる時代となりました。
短時間で最大限の成果を出すことが重要となりました。
では次に壊したものは官庁の壁です。
当時の内閣全体というのか組織ごとに仕事を行っており、その壁は分厚いものとなっていたそうです。
しかしこれでは先ほど説明した通り、時代の変化とあっていません。
そこでいち早く結果を出すことを目標にどうやったら効率的か、組織の枠組みを超えてみんなで考えるため、全体の取りまとめを行う組織を作ったそうです。
必要なら人事の流動化し、協力して結果を出す体制に変えていくことかが不可欠であると感じた経験であったそうです。
3つ目に壊したものは古い規則やしがらみです。
役所は少し硬い、古いイメージがあると思います。
しかし、このままでは技術の発展、進歩、そしてそこから生まれるビジネスが対応できません。
政府は国民の安全、安心を守ることを第一に、古い規制の整理、緩和すべきは緩和し、場合によって作るべき規制は作るといった規制改革を早くやることを心がけているそうです。
実際の政策
ではそのような考えから生まれた政策についてお話しします。
その政策とは自動車をめぐる社会的コストと規制です。
自動車とは公共機関、物流などで活躍する無くてはならないものである一方、大気汚染などの環境破壊の要因でもあったためどのように燃費を規制をするべきか問題となっていました。
当時の日本の規制方法としては平均規制。
つまり平均燃費を下回る車は規制をするという方法です。
他の国の規制方法としては、自動車企業は一定数電気自動車を売るよう義務化するという方法です。これはカルフォルニアで行われた規制方法ですが、当時の電気自動車は高価だったため現実的ではないものでした。
そこでどのような規制方法を導入するべきか。
それはトップランナー規制というものです。
名前から少し想像がつく方もいらっしゃるかもしれませんが、この規制方法は当時の市場にある車の中で最も燃費をいい車をベースに考えるものです。
規制の目標年次を10年に定め、現状の技術、成長度合いを踏まえて10年後の燃費がどのくらいであるか、想像します。
そのボーダーを下回る車は規制するという方法です。
この方法は現実的であるだけでなく、今後の技術開発を促すことができると考えます。
これまで、門松さんが実際に壊してきたものについて説明しました。
いずれも「つくる」ために「こわす」もの。
創造のための改革であるといえます。
門松さんは様々なものを「こわす」中で、次のことを意識していたそうです。
- プロセスとしてしっかり問題を把握する
- できること、自分が成長すべきことを理解する
- 関連情報を収集
- 論理的に解決策を探る
これらを意識することでこわすべきものが見え、最終的に新しいものを生み出すことができるそうです。
どのようなことでも自主的、論理的に学ぶことが結果を出すには必須なのではないか、と感じました。