共創する場
こんにちは、今日は第9回の授業についてお話ししたいと思います。
今回のゲストスピーカーは江渡浩一郎さんです。
江渡さんはメディアアーティストとして様々な作品を発表する一方、研究者として研究に従事されています。
江渡浩一郎さんとは?
では江渡さんが今までどのようなことをやってきたのか、今どのようなことに携わっていらっしゃるのか、お話しします。
皆さんは今、以前には無かったオンライン授業を受けていると思います。
オンライン授業というものは、インターネット上で動画という形で情報を共有するものです。
江渡さんはそのように、インターネット上での情報共有というものに興味を持っていました。
そしてその興味を生かして今ではオンライン上、または対面での共創、創造の場を作っていらっしゃいます。
共創、想像の場
共創、創造の場と言われてもイメージが上手く湧かない人も多いと思います。
身近な共創、創造の場といえば、Wikipediaです。
皆さんはWikipediaをご存知ですか?
何か単語を調べた時、その言葉に関した情報や関係ワードを教えてくれる言葉辞典のようなものです。
そのWikipediaは誰が作っているかご存知ですか?
それは皆さんです。皆さんも対象に対して情報を付け加えたいと思えば可能です。
つまり、Wikipediaとは様々な人が集まって文章を作る、共創、創造の場といえます。
ではなぜWikipediaは今のように全世界の人が利用する世界の百科事典となったのでしょう。
それはパターンランゲージを取り入れたものであったからです。
パターンランゲージとはある建築家が提唱した建築方法のことです。
ある建築を利用者の望み通り実現するには、その利用者自信が建設するべき、とその建築者は考えていました。
確かに、利用者にとって完璧なものを作るには利用者自身が建築をする→建築家が再現する、この方法が手っ取り早いと感じますよね?
建築物において良いと考えられるものの中で、よく出現、使用されるパターンを集め、それらのパターンから利用者が選出、繋いでいくことでいいものができると考え、パターンランゲージ法として利用されていました。
これは現在のプログラミングにも活用されています。
まず、利用者がどのようなプログラムを使用したいのか、自分なりにデザインを考えます。そのデザインをもとにプログラマはプログラムを再現するというものです。
Wikipediaは世界のものになった理由も同様です。
Wikipediaができる以前、wikiwikiwebというWikipediaと同様の機能を持つものがありました。wikiwikiwebという良い機能を持つパターンを参考にし、作られたことによって、Wikipediaは今のように一般的になったのでした。
ニコニコ学会β
では、江渡さんにとっての共創、創造の場とはなんだったのでしょう。
それはニコニコ学会βというものです。
ニコニコ学会βを構成するにあたって、江渡さんは有名なプロの研究者の発表としての学会だけでなく、あまり有名とまでいっていない研究を発表する学会とすることを意識したそうです。
こうすることで、プロの研究者と野生の研究者が交流できる場を江渡さんは作りました。
ここまで共創、想像に重点を置いてお話ししてきました。
では共創とビジネスでよくある協業にはどのような違いがあるのでしょう。
共創と協業の違いについてお話しします。
協業とは複数の企業が協力しあって組織的に動くことです。
よって動き出す前に、得られる利益を予測しその利益をどのように分配するか決めます。つまり、とてもビジネスライクな関係です。
では共創とはどのような関係でしょう。
江渡さんは共創とは「どのようになるか予想できない、しないがとりあえず一緒に動いてみる」というものです。
つまり、ビジネスライクとはまた異なる関係であることはお分かりだと思います。
しかし、競争には共通の目標「共通善」が必要であると江渡さんは考えています。
この共通善に向かって様々な人が強調するのではなく、思い思いに行動して噛み合ったときに生まれたものこそが共創と言えるのではないか、と江渡さんは考えています。
学生のみなさんにとって大切なこと
ではこれから学生の皆さんはどのように行動するべきでしょう。
未来に向けてと言われても未来はいずれ現在に、今は出来ないことだとしてもいずれ当たり前になってしまいます。
しかし、今の「非常識」を疑うこと、つまりいずれ「常識」になるかもしれないと思うことが大切です。
いまは多くの人々が同意しないだけで、いずれ重要な事実となることを見逃さないでください。
では最後にその重要な事実をどのようにすれば見つけることができるのか、おはなしします。
- 自分なりのテーマを見つけよう
- 仲間を見つけよう
- 大学の外に活動の場を見つけよう
今いる環境の外に出てみる、友人と興味のある分野の理解を深めてみる、こうすることでいろんな観点を持つことができ、いまは誰も信じない自分だけが知っている事実を見つけることができるのではないでしょうか。
みなさんが中学生、高校生なので交流を持つ場を見つける、作ることは難しいと思います。
なので、まずは自分なりのテーマ、知りたいと思うことを見つけてみてはいかがでしょうか。