作るために壊す

こんにちは、今日は第7回SFCスピリッツの授業内容についてお話したいと思います。

今回のゲストスピーカーは門松貴さん、内閣官房長官の秘書を勤められている方です。

 

 

つくるためにこわす

門松さんは今までのやってきたことを一言でまとめるとすると「つくるためにこわす」だそうです。

これまでの授業は比較的「つくる」ことに重点をおいた授業であったかと思います。

今回の授業では「こわす」ことを多くやってきた門松さんのお話を説明したいと思います。

 

では門松さんはどのようなものを壊してきたのか?

 

1つ目は文理の壁です。

みなさんは現在中学生、また高校生でもうすでに文系、理系が決まっている人、またはどちらにしようか迷っている人、など様々な人がいると思います。

 

門松さんも皆さん同様、文理選択の際に何度か迷っていたそうです。

門松さんの得意科目は英語や数学や物理、不得意科目は科学、つまり理系っぽいけど、、という状態のまま、最終的には理系を選びました。

しかし受験勉強を進めていく中で、英語と数学を重視した文系学部を受けることを決意し、高校3年生で文転をしました。

 

最終的に受験勉強を乗り越え、見事SFCに合格し門松さんはSFCに入学することになりました。

 

SFCに入学してからは文理どちらも得意ということから研究会の先生に通産省の技官を勧められ魅力を感じ、目指すようになったのだそうです。

ここで技官について説明します。

技官とはある学術、技芸に関する仕事をする国家公務員のことです。

分類としては理系として扱われるそうです。

 

しかし門松さんは現在理系ではない官房長官秘書官を務めていらっしゃいます。

つまり門松さんは理系として初めて秘書官を務めている方になったそうです。

 

門松さんは図らずも「理系」として初めてをたくさん開拓していきました。

 

 

では次に文理の壁が壊れることとここ30年の時代の変化についてお話ししたいと思います。

 

ここ30年の時代の変化としては

  • 低経済成長期時代

 人口減少という観点から少ない人数で多くの仕事をこなさなければならない

 情報伝達技術の高速化により国際化、効率化、迅速化

  • 問題の複雑化

 単純に1つの組織、局で解決できないような複雑な問題が生まれる

 

上記の変化に伴い、80年代までの働き方というのは通用しなくなりました。

文系だから、理系だからと枠で決めるのではなく、能力のある者が活躍できる時代となりました。

短時間で最大限の成果を出すことが重要となりました。

 

 

では次に壊したものは官庁の壁です。

当時の内閣全体というのか組織ごとに仕事を行っており、その壁は分厚いものとなっていたそうです。

しかしこれでは先ほど説明した通り、時代の変化とあっていません。

 

そこでいち早く結果を出すことを目標にどうやったら効率的か、組織の枠組みを超えてみんなで考えるため、全体の取りまとめを行う組織を作ったそうです。

必要なら人事の流動化し、協力して結果を出す体制に変えていくことかが不可欠であると感じた経験であったそうです。

 

 

3つ目に壊したものは古い規則やしがらみです。

役所は少し硬い、古いイメージがあると思います。

しかし、このままでは技術の発展、進歩、そしてそこから生まれるビジネスが対応できません。

政府は国民の安全、安心を守ることを第一に、古い規制の整理、緩和すべきは緩和し、場合によって作るべき規制は作るといった規制改革を早くやることを心がけているそうです。

 

実際の政策

ではそのような考えから生まれた政策についてお話しします。

その政策とは自動車をめぐる社会的コストと規制です。

自動車とは公共機関、物流などで活躍する無くてはならないものである一方、大気汚染などの環境破壊の要因でもあったためどのように燃費を規制をするべきか問題となっていました。

 

当時の日本の規制方法としては平均規制。

つまり平均燃費を下回る車は規制をするという方法です。

 

他の国の規制方法としては、自動車企業は一定数電気自動車を売るよう義務化するという方法です。これはカルフォルニアで行われた規制方法ですが、当時の電気自動車は高価だったため現実的ではないものでした。

 

 

そこでどのような規制方法を導入するべきか。

それはトップランナー規制というものです。

名前から少し想像がつく方もいらっしゃるかもしれませんが、この規制方法は当時の市場にある車の中で最も燃費をいい車をベースに考えるものです。

規制の目標年次を10年に定め、現状の技術、成長度合いを踏まえて10年後の燃費がどのくらいであるか、想像します。

そのボーダーを下回る車は規制するという方法です。

 

この方法は現実的であるだけでなく、今後の技術開発を促すことができると考えます。

 

これまで、門松さんが実際に壊してきたものについて説明しました。

いずれも「つくる」ために「こわす」もの。

創造のための改革であるといえます。

門松さんは様々なものを「こわす」中で、次のことを意識していたそうです。

  • プロセスとしてしっかり問題を把握する
  • できること、自分が成長すべきことを理解する
  • 関連情報を収集
  • 論理的に解決策を探る

これらを意識することでこわすべきものが見え、最終的に新しいものを生み出すことができるそうです。

 

どのようなことでも自主的、論理的に学ぶことが結果を出すには必須なのではないか、と感じました。