面白がるために
こんにちは、今日は第六回のSFCスピリッツの授業についてお話したいと思います。
第六回のゲストスピーカーは柳澤大輔さんです。
ではまず柳澤さんについてご紹介したいと思います。
柳澤大輔さんとは?
柳澤さんは実業家であり「面白法人カヤック」のCEOを勤めていらっしゃいます。
柳澤さんは大手企業で2年間サラリーマンとして働いたのち、柳澤さんの学生時代の友人2人とともに「面白法人カヤック」を設立しました。
面白法人とは?どのような会社なのか?疑問に思った方も多いと思います。
私が柳澤さんのお話を聞いて面白いと思ったことは給料の決め方です。
カヤックは給料をサイコロで決める唯一の上場企業であるとお話しされていました。
基本給とは別にサイコロ給というものが作られており、6が出ると基本給×6%分をサイコロ給と定めているそうです。
サイコロ給を作ったのには大学の先輩に「同級生と起業すればお金で揉める」とアドバイスされたからだそうです。
お金でもめそうになったとき、このサイコロ給を思い出すことで初心に帰れるよう、設定しました。
なぜお金で揉めるのか、を考えたときに柳澤さんは次のことを考えました。
仕事とは評価そのものです。自分の仕事量、つまりパフォーマンスとお金の割合があっていない場合、その人は不満を持ちます。
つまり、お金で揉めないためには評価方法を一致させること、つまり評価軸、価値観を一致させることが重要です。
友人同士で作ったのに関わらず、カヤックが今まで成功してきたのは友人3人の価値観が一致したからだと考えます。
サイコロ給も価値観の一致のいい例ですね。
組織に参加する上で大切なこと
では今の話を踏まえこれから皆さんが何か組織を作るor参加するときに心がけるべきことは何でしょう?
それは価値観です。
皆さんは1人1人違った価値観を持ち、またそれぞれの価値観に合った組織は人それぞれだと思います。
尊敬する人、つまり自分の価値観に見合った人がその組織内で活躍している組織、それこそが皆さん自身に合っている場所であることを覚えておいてください。
自分の価値観が肯定される場所こそが皆さん自身が一番輝ける居場所になるそうです。
では柳澤さんは学生時代どのようなことをやっていらっしゃったのでしょう。
柳澤さんは学生時代、今の会社を作るに至った考え方、ルーツとなる体験を経験しました。
柳澤さんは競馬予想のプログラムを作成しており、馬自身の運気を反映することで自分だけにしかできない予想を作っていました。
この経験をもとに運気など「目には見えない価値を体現する」ことに面白みを感じました。
実際、カヤックの本社は鎌倉です。
ではこの場合の価値とはなんでしょう。
- 満員電車に乗らずに出社できる
- 高層ビルで働かない
- 自然がある
このように働く上でのストレスを作らないことに価値を置きました。
面白法人に込められた思い
- まず自分たちが面白がろう
- 周囲から面白い人と言われよう
- 誰かの人生を面白くしよう
これらが面白法人という名に込められた思いです。
これら3つにも様々な思いが込められていますが、今回は1つ目の「まず自分たちが面白がろう」に焦点を当てます。
確かにどのようなものを作るにしても作成者自身が面白いと感じない限り、使用者は面白いと思ってくれないと思います。
自分たちが面白がるには「作る人を増やす」ことが大切であると柳澤さんはおっしゃいました。
作る人、つまり自分がその組織に主体的に関わっているという実感を持っている人は、その組織、作ったものをどんどん好きになり、楽しめますよね。
この考え方の象徴としてカヤックでは「ブレインストーミング」を大切にしています。
皆さん、ブレインストーミングをご存知ですか?
簡単に言えば、集団でアイデアを出し合ってユニークなアイデアが出ることを狙った技法のことです。
カヤックではブレインストーミングを頻繁に行い、アイデアを自分たちで出してもらう、つまり作る人になってもらうことで、面白がってもらうことを目的としています。
ではブレインストーミングをする際のルールをお伝えします。
- 仲間のアイデアに乗っかる
- とにかくたくさん案を出す
これらのルールを守ることで自分では考えの及ばないアイデアを生み出すことができます。
ブレインストーミングの優れているところは、既存のアイデアを組み合わすことで新しいアイデアにできるというところです。案を出していく中で、そのアイデア、プロジェクトがどんどん自分ごと化し、面白がることができると考えます。
アイデア一杯の人は深刻化しない
これはある詩人の言葉です。
常にアイデアをいっぱいにする、つまりブレインストーミングをやってどのような状況も楽しめる、つまり「面白がれる」人になることが大切であると感じました。
逆算して未来を考える
こんにちは。
今日はSFCスピリッツ第5回のお話です。
ゲストスピーカーは千葉功太郎さんです。
まず千葉さんについてお話しします。
千葉功太郎さんとは?
千葉さんは起業家、投資家として活動されています。
千葉さんはSFC卒業後、一般企業に就職しました。その後オンラインゲームの開発、運営を行う「コロプラ」の起業に携わりました。
起業当時の従業員は2名でしたが「5年以内に1000億円の会社になる」ことを目標に定めた結果、見事8年後には従業員が1,150名を超え、目標を達成しました。
このように、期間『何年後』、規模『どうなりたい』を決め、未来を想定して自分に嘘をつけられない目標を作ることを心がけていたそうです。
また、先ほど申しましたように千葉さんは投資家としても活動されています。
投資家とは自分が持っているものを誰か、何かに投資するヒト(リターンを狙う)のこと、つまりこのブログを読んでいる皆さんも投資家であるということです。
例えば友人の相談に乗っている時、その時間というモノを友人に投資、あげていることになるからです。
千葉さんはベンチャーキャピタル「千葉道場ファンド」としてスタートアップに投資されています。
千葉道場ファンドとはスタートアップ100社以上が参加する日本最大の企業家コミュニティのことです。
MISSION『Catch the star』
VISION『まだ見ぬ幸せ未来を想像し、テクノロジーで世界の課題を解決する
』
山頂ではなく、あえて星というより高い場所を目標にすることによって10年後には山頂を超え、目標に近づいているのでは、と考え千葉さんはこう設定しました。
new normalな世界へ
現在新型コロナウイルスで新しい生活様式つまり、new normalが生まれています。
千葉さんはこのコロナ禍の世の中を通して、ウイルスと人間が共生する世界を想定しています。
オンライン授業、オンライン会議など人と会わずに生活する中で、不自由することなく生活するには何が必要なのか?
それは空であると千葉さんは考えます。
では空にとってのnew normalとは何か?
千葉さんはdrone fundを設立し「ドローン・エアモビリティ前提社会を作る」ことを目標にしました。
日本は課題先進国と呼ばれており、様々な解決しなければならない問題を抱えています。
これらの問題はドローンによって解決できるのではないでしょうか。
例えば長距離、中距離物流では2トンを持ち上げられるドローンを活用することにより、物流人材の不足を解決します。
また戸別配達にもドローンを活用することで人を使うことなく、玄関に荷物を配達することも可能です。
また、農業でもドローンを使用することで自動に整備することが可能となり、インフラ点検もいずれ人が必要なくなるかもしれません。
レジャー業界ではドローンとVR技術を組み合わせることで、どこからでも離れた人と一緒に旅行に行くことが可能です。
このようにこれからの空の世界には様々な可能性があります。
皆さんも是非どのようなビジネスモデルがあるか想像してみてください。
しかし、思い付いたとしても実現するためには技術、そしてどのような技術が必要なのか思いつく力が必要です。マルチにこれらを技術として想定できるように、把握できるようになるため、様々な技術を知ってください。
コロナ禍の世の中でもドローンのニーズは高まっています。
実際、感染者が多い国では多くのドローンが活用されているそうです。
- ロックダウンを強化するために街を巡回する
- 健康チェック
- 無人物流サービス
- 消毒液の散布
実際、コロナウイルスによってドローン規制が免除されドローンの実用化が一歩近づきました。
無人化、遠隔化に対するニーズが高まり、相対的にオフラインの価値が上がることでよりドローンエアモビリティの需要が高まったと考えられます。
コロナ禍という危機はチャンスとも捉えられます。
危機によって生まれた新しいニーズをチャンスとしてどのように活かせるのか、何が使えるのか是非考えて見てください。
new normalの実現するには
千葉さんは今後、ジェネラルアビエーションとエアモビリティで空をみんなのものにしたいと考えています。
ジェネラルアビエーションとはANAやJALなどの定期航空便のことです。
千葉さんはこの目標に向け、日本の技術によって作られたHONDA JETを購入しました。
実際にHONDA JETの使用により「時間」と「空間」の感覚が変化したそうです。
今まで空の移動といえば行きたいところへ行くための経由という手段でした。
しかし、自分の意思で空を使って移動し点と点の移動が可能となったことにより様々な場所に行くことができるようになったそうです。
このように体験したことのない、まだ見ぬ未来を自分自身の手で作ることが可能となった現在はとてもラッキーです。
しかし、ラッキーで終わらせるのではなく、実際に自分の手で未来を作り出すには何が必要か。
それは以下の4つの姿勢です。
- 高い視座から徹底的に未来をもそうし、その解像度を高めていくこと
- 妄想を現実にするために誰にも嘘のつけない客観的な目標を立てること
- 目標からのバックキャスト(逆算)で、タスクを明確にすること
- 全体を通じて時間の投資を強く意識すること
この4つを意識し、何が必要なのか徹底的に妄想、逆算し今日からスタートアップしてください。
社会とつながること
こんにちは。
今日は第四回SFCスピリッツについてのお話をしたいと思います。
第四回のゲストスピーカーは閑歳孝子さんです。
まず閑歳さんについてお話します。
閑歳孝子さんとは?
閑歳孝子さんとは株式会社Zaimの代表取締役を勤めていらっしゃる方です。
Zaimとは銀行やカード情報を登録することによって自動で家計簿を作成するサービスのことです。
お金の支出に関する記録を1つにまとめ、生活をサポートするサービスを提供していらっしゃいます。
なぜお金をテーマにしたの?
ではなぜお金をテーマにした事業を始めたのか、閑歳さんにとってお金とはどういうテーマなのかお話します。
お金とは、人生の選択肢を大きく広げるものです。
私は中高生時代、アルバイト禁止の学校に通っていたためお金とは稼ぐものというよりは使うものというイメージでした。また、お小遣いと言っても少ししか貰えなかったので、本当に欲しいものだけを買うという生活を過ごしていました。
しかし、大学に入りお金を稼ぐようになって自分自身の行動の選択肢は大きく広がったと感じます。買い物1つに関しても、対価である労働に変換して物事を見たり、反対にご褒美として中高生では買うことができなかったものを大学生になって買えるようになりました。
閑歳さんは「お金」というテーマを扱うことで、ユーザーの選択肢を広げるサービスを提供したいと考えたそうです。お金を通してユーザーが自身の可能性を発見し、行動に移す。その主体的な選択を提供するサービスを閑歳さんは作り出したいと考えました。
では、お金とは皆さんにとってどのような存在ですか?
中高生の皆さんは、お金の影響力が大きい世界と小さい世界、どちらが好ましいと考えますか?
- 多様な価値観がある中で、お金という客観的指標があったほうがいいと感じる方
- お金はトラブルを巻き起こす。お金より人との繋がりの方が大切
どちらの考えが正しいということはないと私は考えます。
しかしこれから大人へ近づいていく皆さんにとって、お金とはどういう存在なのか、どのようにしてお金を稼ぐのかなど知りたいことがたくさんあると思います。
お金とは物々交換を発展したものであると考えられがちです。
しかし、お金はそれ以上の役割があると思います。
それは他人を信用するための客観的な尺度であるということです。
もし皆さんがお店の店員だった場合、お客さんが初めて会った人だとしてもお金を支払ってくれればサービスを提供しますよね?
つまり、お金とは持っているその人自身の信用を表すものであると考えられます。
では次に、お金とはどのようにして稼げば良いかについてお話します。
閑歳さんの場合、お金というテーマを通してユーザーに自分自身の可能性を発見してもらいたい、主体的な選択をしてもらいたいという思いを持って仕事をされています。
このブログの読者の皆さんが今、そのような夢中になれるテーマを持っている場合そのテーマを大切にするべきだと感じます。
でも、そのようなテーマを現段階で持っている方って少ないと思います。
見つけていないからってがっかりしないでください。
私は現在大学4年生であり、来年には社会人1年目として働いています。残念ながら私は閑歳さんのように夢中になれる対象、お金を稼ぐことができる対象はありません。
でも、私はまずはお金を稼ぐという目的を持って働いてみようと思います。
最終的にそれが別の目的、テーマにつながるのではないか、と考えているからです。
『ノブレスオブリージュ』
ノブレスオブリージュとは閑歳さんが大切にしていらっしゃるフランスの言葉です。
日本語で『財産、権力、社会的地位の保持には責任が伴う』という意味です。
皆さんは今、中学生、高校生です。
中学生である、高校生であるという責任を忘れてはいけません。
しかしその一方、今のその環境というのは自分自身の努力の結果であることを忘れないでください。
またそこで得た能力、得たお金を社会や身近な人に還元しましょう。
その還元する行為は自分自身の幸福度に繋がります。
働くということ、またそれに限らず「社会とつながること」は自身とは異なる環境、価値観への理解に繋がります。
今現在の自分に責任を持ち、社会とつながることはこれからの多様な世の中にとって必要な姿なのではないでしょうか。
n=1を受け入れる
今日は5月11日3限に行われた渡邉康太郎さんの授業のお話をしたいと思います。
渡邉康太郎さんとは
まず渡邉康太郎さんについて紹介させていただきます。
渡邉康太郎さんはSFCを卒業後、Takramという会社で働いていらっしゃいます。
Takramとは、日本を拠点に様々なプロジェクトに取り組む、デザイン・イノベーション・ファームです。
デザイン・イノベーション・ファームと言われても具体的にどのようなことをしている会社なのか、想像がつきにくいと思います。私も授業で教えていただいた時、頭の上にはてなが浮かびました。
デザイン・イノベーション・ファームとは?
企業やスタートアップ、組織からの相談ごとに対し、想像と変革を取り組む会社です。
つまりTakramとは、相談者とともにその組織の未来についてデザインを行う会社ということです。
その中で渡邉さんはcontext designerとして働いていらっしゃいます。
context designer???
context =文脈??
ということは渡邉さんは「企業側の文脈」を「正しく伝える」ことを目標してデザインしている人??
しかし、実際は逆です。
ここでのcontextとは「共に」「編む」という意味。
渡邉さんは作り手による「強い文脈」と使い手による「弱い文脈」がつり合っている状態を目標にしています。
渡邉さんが執筆された『CONTEXT DESIGN』では実際に以下のように書かれています。
コンテクストデザインとは一人ひとりからそれぞれの「ものがたり」が生まれるような「ものづくり」の取り組みや現象を指す。読み手を書き手に、消費者を創作者に変えることを企図する。
「弱い意志」×「偶然」=未来
では次に渡邉さんの学生時代についてお話しします。
渡邉さんはSFCにて学生時代を過ごしました。渡邉さんは高校からSFCだったので合計7年間SFCに通っていたことになります。
SFCにて過ごした7年間によって渡邉さんは自分自身が「弱い意志」×「偶然」で物事を決定する人であることが分かったそうです。
ここで言う「弱い意志」とはなんとなく考え続ける、はっきりしていないもの。
「偶然」とは自分の意思と行動の外からやってくるものです。
ここで「偶然」について注目してみます。
偶然とは「運」ではありません。
偶然は自ら名乗ってやってくるものではないし、それが答えやヒントになるかわかりません。
関心の「外」に関心を持ち、どんな出来事も「偶然」になるかも、という態度を持って行動してみるといいかもしれません。
どんなきっかけも後からしか繋がりは分からないものです。
では「弱い意志」×「偶然」の反対とは何でしょう。
それは「強い意思」×「必然」です。
「強い意思」とはとことん追求すること、「必然」とは自分の意思と行動が必ず未来に結びつくことです。
読者の皆さんも今までの経験から自分がどちらのパターンかぜひ考えてみてください。
これからの未来、やりたいことがない、なりたい将来像がない、など自分は弱い意思に属しているのではないか、と感じる人も多いのではないでしょうか。
しかし、だからこそ強く考え続けることが大切なのではないか、と考えます。
どのような出来事も考えぬき、自分自身の回路を外に広げていくことによってどのような出来事も「偶然」足らしめることができるのではないでしょうか。
n=1を受け入れること
では最後に渡邉さんがcontext designerとして大切にされていることをお話しします。
今の世の中はデザイナー、つまり作り手がものを作り、使い手はその意図通り消費をしています。
しかし、人間は消費する人なのではなく、作り出す人であると渡邉さんはおっしゃっています。
あらゆる人が少しずつ創作、表現できる世界が真の人間らしい世界ではないでしょうか。
鑑賞(経験)する→解釈する(考える)→創作(表現)する
この1つ1つの段階にそれぞれ個人の経験などが合わさることでその人の個性が生まれ、多様性のある社会となるのではないでしょうか。
渡邉さんはcontext designerとしてあえて未完成のものをデザインし、使い手の個性を加えることで使用してもらい、新しい価値を作り出すことを目的としています。
デザイナーの想像の先へ、ものがたりを波及させることを目標にしています。
しかし今の世の中は数が多いものが正しいことが多いです。
実際にどのようなものも高評価なもの、つまり多数派が正しいのであろう、優れているのであろうと考えられがちです。
でも実際にそれが自分に合っているかって誰も教えてくれません。
弱い文脈を弱い文脈として問い続けること、誰でもできることではなく、自分がやりたい事、自分を足らしめているもの、が大切なのではないでしょうか。
n=1を恐れない、n=1であることに価値を見いだすことが大切なのではないか、と感じました。